先日行われたRedBullBcone2021の名バトルの中でもBboy界隈で話題になっている一戦
FleaRock VS Shigekix
ブレイキン発祥であるアメリカで古くから活躍するBboycrew
SkillMethozに所属し、29年踊り続けてきた偉大なBboy FleaRock
対するは昨年の優勝者、現在日本のトップといっても過言ではないShigekix
まさしく 伝説 VS 時代の寵児 ともいえるこのバトル
グラップラー刃牙で例えるなら
合気道の達人渋川剛気 VS 天才 範馬刃牙みたいなドリームカード
一般的に考えると圧倒的なスキルを持つShigekixが優勢と思われたこのバトル
なんと、FleaRockの勝利となりました
YouTubeの再生回数やコメント欄も決勝バトルより圧倒的に多く、Bboy達の話題の中心となっているこのバトル
今回は
・スキルで劣るFleaRockがなぜ4-1で勝利したのか？
について考察してみました
「なんであのヒゲが勝ったのか全然分からん」
「ジャッジが悪い」
「確かにFleaも良かったけどアレは流石にshigekixでしょ」
という方は読んでみてください
Fleaの10年前のヤバい動画も貼ってあるので若い子にもぜひ見て欲しい
※あくまで個人的な考察なのでジャッジの意見はまた違うと思います
こんな考え方があるよって感じで見てもらえれば幸いです
なんでFleaRockが勝ったのか
端的に結論からいうと
ジャッジにムーブの難易度以外の要素を評価する人が多かった
からです
Shigekixの方が素晴らしいスキルを持っていたのは一目瞭然
しかし、それだけで審判が下されないのがBreakin’のバトルです
スキル以外の部分、特にFleaの会場の空気を持っていく力は超絶スキルを圧倒するほどの支配力だったと思います
今回のジャッジとBCONEの採点基準
今回のジャッジですが
- BETA（USA.Street masterz）
- El Nino（USA.Squadron）
- Sarah Bee（France.Zamounda crew）
- Menno (Netherlands,Hustle Kidz crew)
- Kleju（Poland,Polskee Flavour）
の5名
ほんと申し訳ないけどBgirl2人は全く知りません
が、El Nino、Menno、Klejuは世界各地のバトルで活躍している超有名なBboy達です
知らない人のためにワンピースで例えると
左から赤犬、青キジ、黄猿みたいな感じ
んでRedBullBconeの審査基準がこれ
こちらを見てもらうと分かる通り、各ジャッジの判断に一任している形で
技術力、表現力などを各5点満点で採点してください！
というようなものではなく全てジャッジの判断に委ねてます
ちなみにブレイクダンスの大会ではごくごく一般的な形式です
んで、⬆︎に貼った公式の採点基準の中で
「審査の上で特に重視する点を3つ教えてください」
とジャッジに質問しているものがあるんですが、
すんごい雑にまとめると
- BETA 魂、クリエイティブ
- El Nino ステージでしっかり自分を出せているか、ムーブの完成度
- Sarah Bee 自分の世界を見せて欲しい
- Menno 色々あるけどオリジナリティ
- Kleju 音楽性
って感じ（厳密にいうともっとあるから詳しく見たい人は原文見てね）
スキルの高さはもちろん彼らは見てるはずだけど
それ以上にこうゆう部分もしっかり評価していくよー
ということ
（ちなみに4-1でShigekixに入れたのはEl Nino）
つまり
動きがすごい方の勝ちー！！
っていう単純なものではないって話
もしそれで良いのであればジャッジなんて誰でも良くて、フィギュアスケートみたいに
- エアートラックス 2点
- 1990 5周 3点
- ワンハンドエルボーエアー3.5点
みたいな採点式にしちゃえば良いんだけど、
それで勝敗決めるのは”Breakin”じゃないよねって話
スポーツ競技というよりはアートの対決なので
（この辺についてはまた後日書きます）
以前書いた記事⬇︎
バトルの内容
まず1ムーブ目
Shigekixはスレッド入りのヘイローや1990、しかもヘイローのスイッチもあり文句なしに完成度の高いムーブ
対してFlea
日本人のShigekixを意識しているのかサムライソードの表現をしたToprockからスレッドムーブ、そして唐突なヘッドスピン
これ、なんの変哲もないシンプルなヘッドスピンなんだけど、会場的にはFleaRockがパワームーブかますって思ってないと思うので良い意味で期待を裏切ってるからかバカ沸き
その後足を着いてしまっているけどそこまではクオリティの高いヘッド、ラストは浅くエアチェアーを決める
そして2ムーブ目
shigekixがフロアムーブからサムライソードでFleaに斬り返す
んだけど取ってつけたような感じで少し焦りが見える
その後のムーブは完成度高いんだけどフリーズ以外が全く音にマッチしていないのが残念
Fleaはまさかのエアタートルから銃のジェスチャー
銃を抜いて相手に撃ち、それを自身の足元に乱射するようなステップから、ブリッジのような姿勢で銃を向けたフリーズとストーリーテリングな動きに会場はバカ湧き
※ストーリーテリングってストーリーを伝えるみたいな意味
そして生配信なのにShigekixに対してミドルフィンガーを立てるというオーガナイザー泣かせの徹底したバトルスタンス（これ後で怒られたんじゃないかな・・・ｗ）
ラストムーブ
クオリティの高いパワーからスクラッチに対する音遊び、エアタートルのムーブ返し、ヘイローからオリジナルのショルダーグライドとてんこ盛りのshigekix
なんだけど、個人的には焦っているような印象にうつる
Flea
ドリルからウィンドタートル、1990
そこからshigekixに対しての攻撃を表現してからのドロップとペースを乱さず
ショートムーブな感じで終了
総評としては
shigekixはムーブの難易度は圧倒的に高いんだけど焦っているように見えた
（サムライソードの返しや2ムーブ目のフットワーク、エアタートルの魅せ方など）
あのスピードで色々できるのはもちろんすごいんだけどフリーズ以外の動きが音とマッチしてなかったのもおそらくマイナスな点
Fleaはムーブの難易度は劣ってるものの、落ち着いていてムーブの魅せ方が非常に上手い
そして相手に対するバトル表現と動きのストーリー性により会場の空気を持っていくことで、Shigekixのスキルの高さを打ち消して強烈な存在感を残した
といった感じ
Fleaが湧いてShigekixが湧かなかった理由
SNSでこのバトルの感想やコメントを見ると
FleaRockが完全に空気を持って行っていた
っていう意見が多くて、実際勝敗を決めた大きな要素だと思う
そして彼、それの天才なんだよね
個人的に印象に残ってるのが10年ほど前のこのバトル
面白いので是非見て欲しいんだけど
開口一番FlowmoのHatsoloがムーブ前に謎の行動を取ってムーブ中も
「ん？」ってなる理解しづらいネタを挟んで微妙な空気で終わる
その後に出たFleaがそれを小馬鹿にして表現
おそらく会場の全員が思っていた
「さっきのHatsoloのネタなんだったんだろう…」
っていう気持ちを面白く代弁したことで会場の空気を一気にFleaのモノにしてしまう（ちなみにこれをやって会場を盛り上げる表現はすごく難易度が高い）
その後の音に対するアプローチやストーリーテリングなネタ（下ネタだけどw）も最高
もうとにかくこういうバトルの駆け引きに関する天才なんです彼
話がそれましたが、今回このバトルで会場の空気を持って行った大きな要因が
サプライズ、良い意味で期待を裏切ったこと
なんじゃないかなと
Shigekixに関しては
・前回の優勝者でスキルの高いBboy
っていうレッテルがすでに貼られている
会場的にも
「Shigekixだ！やばいムーブが見れるぜ！」っていう空気なハズ
んで、案の定とんでもないムーブが炸裂すると
「あーやっぱすごいね！わー！」っていう感じで沸くんだけど
バカ湧きはそれに
強烈な音ハメや誰も想像のしない動きなどのサプライズがないと起こらない
そして2ムーブ目みたいに少しでも焦りが見えたりすると
「あれ？」
ってなって次の動きに対してさらにハードルが上がる
ただ3ムーブは動きがあまりにもヤバすぎたので会場も沸いてた
対してFleaRockはパワームーブや超絶スキルを期待されるようなBboyではないので
（なんならFleaのこと知らないBboyも多いハズ）
そこの期待を裏切ってクオリティの高いヘッドやエアタートル出したことで
「え！？Fleaやばいじゃん！」みたいな雰囲気で、
そこからRedBullではあまりに見ないような銃のジェスチャーをかましたり、攻撃的なスタンスのムーブをしたことで会場はバカ湧き
「やべー！！！！！Fleaめっちゃノってるじゃん！！！！！」ってなった
逆にShigekixがあんな感じでシンプルなヘッドやったとして
「お！そこから何するんだ！？」っていう
さらにハードルの高い期待が持たれてたはず
あと、ただお互いのムーブを見せ合うだけだったらオンラインでも良いんだけど
Bboyバトルって相手がいて、そこのやりとりが予想のつかないところでもあり、面白いところでもあるのでそれを常に意識していたFleaRockは流石
全ムーブ常に相手に向かってやっていて、彼のバトルに対するポリシーが感じられる
まとめると
Fleaのクリアなパワーと彼のストーリーテリングの上手さ、バトルとしての駆け引きの魅せ方などの要素で会場の空気がFleaに支配されていた
っていう感じかなと
まとめ
- 技の難易度はShigekixの方が圧倒的に上だが、魅せ方やストーリー性、空気の持っていき方などはFleaRockが上、そっちを高く評価するジャッジが多いためFleaの勝利となった
Redbullのような大きな大会でここまで分かりやすく
技の難易度以上に他が評価された勝敗がついた
っていうのはすごく大きなことだと思います
個人的にはShigekix君に勝って欲しかったですが、スポーツではなくアートの戦いであるという事を象徴する結果には嬉しい気持ちもあります
あと、ちょっとShigekix君を悪く書いてしまったように見えてたら申し訳ないです
数年前に中国でお会いした時
「この年齢でこんな上手いのになんて謙虚な子なんだ…」と感心しましたが
今回のバトル後すぐのコメントの時もすごく悔しかったであろう中
次へ向けた明るいコメントをしていたのが流石だなと思いました
あくまで個人的な考察なので参考までに
こうゆう話って楽しいんだよなー、あースッキリした
以上、【Redbull2021】FleaRock VS Shigekixについて審査と内容を考察してみた でした！
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