ありがたいことにここ数年バトルやコンテストのジャッジをさせて貰う機会をちょこちょこ頂いていて、毎回色々と勉強させてもらっているので、現在の自分の意見、ジャッジする際の基準を整理してみる。
そんなん踊りが良かった方に決まってるっしょ!
って思うかもしれないけどジャッジをする以上責任があるので、その『良い』を決めるのに色々考えさせられます。
結論から言うとフリースタイルダンスバトルに明確な基準は無いのですが、
バトルに出たてのダンサー達やよくバトルを見に行く方で、
実際ジャッジはどんな基準で判断しているのか?気になる方もいると思うし、書いてる人もあまりいないと思うのであえて記事にしました。
自分の判断基準として重要にしてるのが
①音にのれてるか
②キャラクター
③技術力
④姿勢
⑤バトルしてるかどうか
の5つ。
以下、解説です。
①音にのれてるか
いわゆるMusicality。
ダンスバトルなので当たり前の話ですが、
Bboyで技がすごくても、あまりにも音を無視してネタかましたぜっ!って感じのムーブは旗挙げづらい。
逆に大した事してなくてもグルーヴ感だったり雰囲気めっちゃ良かったりすると挙げたくなる。
リズムが取れてるとか遅どりとかどうのこうのあると思うけど、音のとり方に関して自分は深い知識はないので単純に
音楽が流れてる空間でその人の踊りが気持ちいいかどうか。
当たり前ですが音に合ってないと見ててもしっくりこないんですよね。
音ハメに関しては意見いろいろだと思うけど、思いっきりハメに行ってその前の踊りが雑なのって見てると結構分かるもの。(書いてて胸が痛い)
その前の流れ、踊りがいい感じでその後サプライズ的なハメ方してくるとおぉ!ってなるし会場も湧くし挙げたくなる。
②キャラクター
予選で100人中8人とか16人のピックアップです!っていう場合、曲もドンピシャでめちゃめちゃかませればそりゃ上がるけど、そうじゃなかった場合はキャラが濃くないと印象に残らない。
同じレベルのことしてても、キャラが濃い人はやっぱり点数高めにしたくなるし、あと二人上がれるけどどうするみたいな話にジャッジでなったときに、キャラが濃い人は単純に名前が出やすい。
コテコテのオールドスクールだったアイツ!とかめっちゃ笑顔でおどってたアイツ!みたいな。
そして服装は普通に目に入るから重要。
こいつはうまいけど服装ダサすぎだから無し!って事はないですが、服装によってシルエットが変わるのはもちろん、雰囲気も変わってくる。
練習着じゃなくてお気に入りの服、打算的なこと言うとBBOYは黒系ばっかなので他の色、キャラクター作りできる衣装があると予選は強いかも。
あと、表情って個人的にすごくめちゃめちゃ重要だと思ってて、感情むき出しの表情とかちょっとした笑みとか完全に入り込んじゃってる顔とか見てると心が動かされる。
上手い人はこうゆうのが自然に出てくるので惚れる。
というか踊りに余裕があると出るものかも。深い。
③技術力
派手でハイレベルなムーブは単純に挙げたくなります。
BBOYのイカついパワーコンボはもちろん、超きれいな高速タットとかバチバチのパンキンとかHIPHOPのエグいムーブとかKRUMPのハットトリックとかキレキレのロッキンとか。
けどいろんなジャンルのダンサーがいるので、この動きよりこっちの方が技術力が上だ!とは一概に言えないのがフリースタイルバトルの難しい所。
自分もジャンルごとで練習してきた時間は全然違うので当然各ジャンルの理解力も違います。
ただ、どのジャンルでも言えるのが、上手なダンサーは動作がクリア。綺麗。
ペイシング、ウェーブ、6STEP等の基本的な動きだけでも上手い人とそうでない人はその動きにかけてる時間、練習量が違うなっていうのがすごく分かる。
一般の人が見て、Aのほうがすごかったのになんで3-0でBが勝ったんだろう?っていう場合、結構そういう技術的な所で判断されている場合が多いのかもしれない。
④姿勢
踊ってるほうが寄ってきてお互いの距離が近い時の駆け引きみたいのすごい好きだけど、相手が普通に真ん中で踊ってるときに異常に前に突っかかったりは良くないなと思う。
邪魔じゃん。
あとよくいるのがムーブの後半諦めちゃってる場合。基本挙げない。
勝ち上がってステージ立ってるなら最後までやりきってほしい。
⑤バトルしてるかどうか
Ryugi vol.8 photo by .JNY
Bboy目線な基準ですが、『バトル』なので、基本的に相手に踊るべき。
ジャッジに向けてアピールしたり、オーディエンスに向けて踊っても盛り上げたり。多少は全然有りだと思いますが『バトル』なので相手に対して踊ってほしい。
アイコンタクトとか姿勢とか、相手のムーブに対する返し(相手がやった動きを真似したりさらに上のレベルの事をしたり)とか、そういうコミュニケーションがあるからバトルだと思います。
そしてその方が盛り上がるしお互い楽しいので良い踊りが出て観客はさらに沸く。
余談だけどこの間キッズバトルでお互い知らない女の子同士だったんだけど、何故か二人共踊りながらめちゃめちゃ笑顔で。そうするとなんか見てる方もテンション上がってきて結果、延長戦になって会場バカ沸き。
お互いをちゃんと意識して踊った結果、フィーリングがめっちゃあったみたいな感じ。こうゆうのホント好き。
基準に戻るけどジャッジが判断するんだからジャッジにしっかり見せるべきでしょ!って意見もあると思う。
ただ相手に向かわずジャッジばっか見てたらそれはもうコンテストじゃん。
(オーディション形式の予選はそれで全然OK)
自分のなかでバトルイベント、ジャッジがいる中でのバトルは、
向かい合ってバトルしているものをジャッジが判断する。っていう認識。
敵はもちろん観客でもジャッジでもなく相手。相手に向かって踊りましょ。
まぁこんな感じです!
細かい所いれるともっとあると思いますが(歌詞に対する表現とか曲の年代意識した踊りとか)私が重要視してるのはこの5つです。
ただ、これは48個人の意見なので人によっては全然違うと思います。
もっとめちゃめちゃ考えてる方もたくさんいれば、え!?そんなん良かった方でしょ!って方もいると思う。
あとこれはフリースタイルソロバトルの時で、基本は一緒ですがBboyバトル、コンテストになるとまた変わってきます。
締め
よくジャッジの方がイベント終わりでコメントした後に、今言ったことが必ずしも正解ではないので自分の踊りを貫いてください!みたいな事けっこう聞いたことあると思うんだけど本当それ重要。
極端な話Bboyで言うとトップロックとかパワーしたくないならしなきゃいいし、HIPHOPだと最近のヨーロッパ系のスタイルとか派手で良いかもしれないけど独自のスタイルで勝ち上がってる人もいる。
バトルイベントって結局ジャッジっていう第三者が明確なルールのない中優劣をつけるもの。
(最近は厳密なルールがあるバトルもあるけど)
そこで負けちゃったから流行りのスタイルを取り入れようとか苦手な〇〇を頑張ろうと試行錯誤するのは全然良いのだけど、そこで自分の好きな踊りを見失うともったいない。
勝ちに行こうとすればするほどアレやらなきゃコレやらなきゃって思考の罠にハマる(自分がそうでした)
でも、絶対に勝てるやつなんて存在しない。
だって明確な基準が無いんだもん。
そりゃあエアー抜けないやつより抜けたほうが良いよ。
観客を沸かす派手なムーブを見たら取り入れたくもなる。
フリースタイルでグルーヴィーな踊り見たらソウルやったほうが良いのかなーとかPOP見てもっとストップ強くしたいな〜とか。
でも、それやってみて自分楽しいのかな?
練習辛くなってないか?
そこから良い踊りは生まれるのか?
周りの意見は聞いた上で、自分はどんな踊りが好きなのか?どんなダンスが踊りたいのか?を一回問いかけてほしい。
ダンス=自己表現
なのでバランス取らずに好きなように尖るのがベスト!!
と、自分にいい聞かせて練習に励みたいと思います。
・・・なんか偉そうな記事ですんませーん!
以上、ジャッジするようになって考えたジャッジの基準でした。